アメリカフェンシング界初の世界チャンピオン!その素顔に迫る!

フェンシングが強い国とはどこだろうか?読者がイメージされる第一候補として、ヨーロッパの国々が浮かんでくると思うが、実際そのイメージで間違いはない。

フェンシングの強豪国はヨーロッパに集中している。その為、オリンピックのメダル獲得数も、必然的にヨーロッパ勢(一位:イタリア、二位:フランス、三位ハンガリー)が多くなっているのが現状だ。しかしご存知だっただろうか?実はヨーロッパとは真逆にあるアメリカもフェンシングの強豪国として名を上げてきている。

2016年に行われたリオデジャネイロオリンピックでは、アメリカは個人で銀メダル、団体では銅メダルを獲得している。

今回は、強豪国アメリカの中でも、日本フェンシング界のレジェンド『太田 雄貴選手』とチームを組んだ事もあり、2013年、アメリカに初の金メダルをもたらした世界王者『マイルス・チェムリーワトソン選手』について紹介していきたい。

彼のフェンシングに対する考え方は、フェンサーだけではなく、多くの日本人に影響を与えるものになるだろう。

マイルス・チェムリーワトソンとは?そのルーツに迫る!

『どんな子供も剣が好きだ』

動画の冒頭、ワトソン選手はこう述べている。その言葉には、自身の幼少期の頃を振り返っているようにも見えるし、事実をそのまま言っているようにも見える。

彼は、見た目こそ怖そうに見えるが、家族と友人を大切にする人柄で知られている。そんな彼でも、幼少の頃は素行が悪かったようだ。よく校長室のオフィスに繰り返し侵入するなど、本人も養子に出されなかったのが驚きだったと振り返る程、”悪い子”だったという。しかし、10歳の時、体育のクラスで出会ったフェンシングが全てを変えてるきっかけになった。

初めは面白そうだからと始めたフェンシングだったが、フィーリングがあったのか、すぐにその魅力の虜となった。それから練習を重ね、勝ち始めると少しだけ”ゴール”が見え始めたという。彼の言う”ゴール”とは、すなわちフェンシングをする上で目指すところだろう。彼は、自分の目指すゴールに向けて、日々練習に励んでいった。

フェンサーとなった彼が、今も鮮明に覚えている言葉がある。13歳の頃、ある男に言われた一言だ。『君は決して上手くなれない。君の態度では何をしても達成できないだろう。今すぐフェンシングを辞めて親のお金を無駄に使うのをやめろ』と。普通の子供なら、ショックを受けるか、激怒するものだが、彼はそのどちらでもなかった。男の言っている事が正しいと受け入れ、子供から青年になった気がしたと、成長する方向にもっていったのだ。この一言が、世界チャンピオン『チェムリーワトソン選手』誕生のきっかけになったのだとしたら、ドラマチックな展開にただただ驚愕せざるをえない。

ワトソン選手の理論!日本人にこそ必要なマインドとは?

ワトソン選手のフェンシングスタイルは独特で、身長190cmの巨体から、トリッキーな突き方でポイントを取ってくる。特に印象的なのは、腕を首に絡めるようにして近距離の相手を突くというもので、世界広しといえど、そんな突き方ができるのは、ワトソン選手ただ一人だろう。事実、彼が日本に招待され、全日本選手権に特別参加した時も、その独特の突き方に日本人選手は唖然としていた。

彼のフェンシングスタイルを見ていると、『目立ちたがり屋』という印象を持ってしまいがちだ。しかし、ただの目立ちたがり屋が世界チャンピオンになれるほど、フェンシングの世界は甘くない。実際彼は、非常によく練習している。では何故そのようなフェンシングスタイルになったのか?

フェンシングスタイルは、その人の持っているフェンシングの理論(考え方)が多いに反映される。

ワトソン選手の理論はこうだ。『成功したいなら、その為に戦わなければいけない。誰も成功を簡単にはくれない。やる気を起こさせるのは失敗であったり、成功しなければいけないという不安な気持ちだ。僕にとって不安な気持ちとは、誰かと似ているような普通の人にはなりたくないという事なんだ。フェンシング選手のほとんどは戦術的なメンタルを持っているが、僕は99%がフィーリング(直感的で、漠然とした気分)。フェンシングスタイルは型にはまっていないし、他の人がやってはいけないと言う事を全てやってしまう。しかしそれが正しい事ならば確実に相手に勝てると信じている。』

つまり、自分らしさを持つ事が、何より重要だという事だ。日本人は、しばしば自分の特色を消してしまう傾向にある。スポーツでも、仕事でも同じ事が言えるだろう。他の人が言う事を正しいと信じ、疑わずにその通りにやってしまう。周りと同じ事をしていないと安心できない。しかし、それでは自分を殺している事と同じだ。自分を解き放ち、自分らしいスポーツスタイルや、仕事の方法を見出す事こそ必要なのだ。

今までなかったものを組み合わせ、新しいスタイルを見出すのもいいだろう。マイルス選手も、フェンシングの練習後にボクシングに行くなど、別々のスポーツをする事によって、通常のフェンシングにはない独特なフットワークを実現している。筆者もフェンシングとボクシング両方の経験を持つが、全く別のスポーツを交互にやる事によって、ボクシングのフットワークをフェンシングに組み込んだり、フェンシングのコンビネーションをボクシングに組み込む事によって、今まで気付けなかった、両スポーツの魅力に気づく事ができた。

自分らしさを発揮する事によって、新たな価値を作り出す。それは少々怖い事かもしれないが、いざやってみると、今までなかった新しい気づきに出会い、人生の幅が広がることだろう。

ワトソン選手の生き様を見ていると、日本人に足りていないものを教えてくれているように感じる。この記事が読者の人生をより良くするきっかけになってくれれば幸いだ。


【筆者主宰】騎士のスポーツ、フェンシングを始めませんか?

フェンシングというスポーツを知っていますか?

最初にイメージするのは、中世の剣士たちが繰り広げる激しいバトルだと思いますが、そのバトルをスポーツにしたものが、このフェンシングです。

剣をつかっているので、”チャンバラごっこ”に近いとも言われ、普段やりすぎると怒られるチャンバラごっこも、ここではやった分だけ褒められます。さらに、フェンシングは別名”筋肉を使ったチェス”とも言われており、相手の裏をかく戦いをすることから、頭を使う練習にも最適です。

墨田フェンシングクラブでは小学生から大学生までを中心に、全国トップクラスの実績を持つコーチが、フェンシングの指導を行っています。

あなたも、剣をつかった特殊なスポーツで、非日常を感じてみませんか?


ABOUTこの記事をかいた人

1989年生まれ、愛知県出身。中学から大学までフェンシング選手として活動し、高校で全国7位、大学時代には全国4位に入賞(両方とも種目はエペ)。現在はWEBメディアの編集者として、記事の執筆、編集などを行っている。プライベートでは墨田フェンシングクラブの代表を務め、子供から大人まで幅広い世代を指導するコーチとして活動している。