フェンシングの初期費用について、意外と知られていない”格安”で始められる方法を紹介

プラスチック剣 ファイティング風景

「子供にフェンシングを始めさせたいけど初期費用が高そう。」

そう考えている人も少なくないのではないだろうか?

確かに始めから全ての用具を揃えると高い。種目(エペ・フルーレ・サーブル)にもよるが、平均で6~7万円ほどかかってしまう。

▼フェンシングを本格的に始める際に揃えるもの
※種目『エペ』の場合
エペ剣 電気剣 11,060円(税込)
フェンシングマスク 8,900円(税込)
グローブ(手袋) 980円(税込)
剣袋 980円(税込)
ユニフォーム(上衣) 14,900円(税込)
ユニフォーム(ズボン) 12,200円(税込)
半袖プロテクター 9,800円(税込)
ハイソックス 800円(税込)
ボディコード 2,000円(税込)

合計61,620円
※シューズは内履き用のシューズで代用できるので除外。

さらに子供に始めさせる場合は、せっかく用具を揃えても”続けられるかわからない”という不安もつきまとうため、いきなり全ての用具を揃えるのに二の足を踏む方もいることだろう。

だが実は、野球やサッカーのように初期費用を一万円以内に抑えながら、ちゃんとフェンシングを続けられるか見定める方法がある。

今回は筆者の運営する練習場で実際に行っている『初期費用を抑えながら子供がフェンシングの技術を覚えることができるやり方』について紹介していく。

これから子供にフェンシングを始めさせたいとう人へ、このスポーツは”始めるだけならそこまで敷居が高いものではない”ということを知っていただければ幸いだ。

フェンシングを始めるなら”プラスチック剣”からがオススメ

フェンシングを始める上で道具を全て揃えなければいけないのは、”今後試合に出場するため”と、”本気なら最初から鉄剣で始めた方が良い”という考えがあるからだ。

だが、フェンシングを始めるだけなら最初から全ての道具を揃える必要はない。

むしろある程度の技術を身につけてから道具を購入した方がありがたみもわかるし、なにより熱心に練習に取り組めるようになる。

ではその具体的な方法についてお伝えしよう。フェンシングを最初に始めるのであれば『鉄剣』からではなく『プラスチック剣』から始めることをオススメする。

プラスチック剣 赤 青

プラスチック剣には赤色と青色があり、それぞれ先端に設置されているブザーの音が違う

プラスチック剣とはイタリアで生産されているプラスチック製の剣のことで、あまり知られていないが立派なフェンシング用品だ。仕組みとしては先端にブザーがついており、突いたら音が鳴るので、フェンシングのファイティング(1対1の対戦形式)にも活用することができる。

このプラスチック剣から始めるメリットは、下記の3点が挙げられる。

①マスク以外の防具が必要ない。
②プラスチック製なので軽い。
③フェンシングの基礎技術を全て習得することができる。

詳しく説明していこう。

マスク以外の防具が必要ない

まず利点の1つである『マスク以外の防具が必要ない』についてだが、この剣はプラスチック製なので、突かれてもあまり痛くない。
※半袖など肌が露出していると痛い可能性あり。
※顔を守る防具(マスク)は必須。

エペマスク AF スタンダード

フェンシングのマスク

筆者の練習場では上に長袖のスウェットを着てもらっており、厚手であればあるほど理想的だ。普段使っている長袖の服があればそれを使用することもできる。

ただ顔に当たると危ないので、最初にマスク(8,900円)の購入は必須となる。

プラスチック製なので軽い

2つ目の利点は『プラスチック製なので軽い』という特性があることだ。鉄剣の重さ『約450g』に対し、プラスチック剣は『145g』。三分の一程度の重量だ。

さらにプラスチックであるため、剣を振っても鉄剣のように腕に負担がくることはない。そのため鉄剣の重さを支えるのが難しい小学校低学年以下の子供たちでも、自在に扱うことができる。

フェンシングの基礎技術を全て習得することができる

一番のメリットはこれだろう。

フェンシングはまず基礎技術である『マルシェ(前進の歩法)』『ロンぺ(後退の歩法)』に加え、腕の伸ばし方、防御方法を覚える必要がある。

これは鉄剣にしろプラスチック剣にしろやることは全く同じで、最初にコーチがフェンシングの歩法(マルシェ・ロンぺ)を教え、そこから具体的な突きの技術を教えていき、ファイティング(1対1の対戦形式)で実戦感覚を身につけていく。

さらに子供にフェンシングを習わせたい場合は、プラスチック剣から始めることにより、その子がしっかりとフェンシングを続けられるか判断することもできる。まさにフェンシングを始めるための入り口としては、最適な方法とも言えるだろう。

このプラスチック製の剣は、練習場で貸し出しされていることが多い。筆者の運営する墨田フェンシングクラブでもプラスチック剣の貸し出しを行っている。
※最近では、プラスチック剣を買う教え子も増えてきている。

最初から保護者がリスクを負う必要はない

フェンシングを始めさせる上で、最初に買うのは”マスク”だけでいいということを解説してきた。

この記事を書こうと思ったのは、フェンシングというスポーツを始めるうえで”後悔”してほしくないからだ。

フェンシングは非常に楽しいスポーツであるし、将来の役に立つことを身をもって知っている筆者からすれば、心からオススメしたいスポーツではある。

だが、万人にあうスポーツだとも思っていない。

最初に興味をもってもらえただけで筆者としては嬉しいが、その後、用具を買って途中で辞めてしまったという人が出てきてしまうのは望ましくない。

だからこそ、まずはフェンシングを始める入り口として、”プラスチック剣で始める方法もある”ということを紹介させていただいた。

もちろん全ての練習場でやっているわけではない。もしかすると最初から全ての道具を購入して欲しいと言われることもあるだろう。

始めさせようとしている子供がやる気満々なら、最初から道具を全て購入した方がいい場合もあるが、もしも続けられるか不安な場合は、プラスチック剣から始めることができる練習場を探すのも一つの手だろう。

筆者の運営している練習場では、現在7名ほどの子供たちがプラスチック剣での練習に励んでおり、鉄剣への練習に備えて実力を磨いている。

ライバル同士、一生懸命練習している様子を見ていると、将来のオリンピック選手がこの中から出てくるのではないかと思いたくなる今日この頃だ。


【筆者主宰】騎士のスポーツ、フェンシングを始めませんか?

フェンシングというスポーツを知っていますか?

最初にイメージするのは、中世の剣士たちが繰り広げる激しいバトルだと思いますが、そのバトルをスポーツにしたものが、このフェンシングです。

剣をつかっているので、”チャンバラごっこ”に近いとも言われ、普段やりすぎると怒られるチャンバラごっこも、ここではやった分だけ褒められます。さらに、フェンシングは別名”筋肉を使ったチェス”とも言われており、相手の裏をかく戦いをすることから、頭を使う練習にも最適です。

墨田フェンシングクラブでは小学生から大学生までを中心に、全国トップクラスの実績を持つコーチが、フェンシングの指導を行っています。

あなたも、剣をつかった特殊なスポーツで、非日常を感じてみませんか?