子供にフェンシングをやらせたい人にとって、最初の悩みとなるのが”途中で飽きて辞めてしまうこと”ではないだろうか。
ただ飽きるだけならいいが、ユニフォームなど必要な用具を揃えたうえで飽きられてしまったら、経済的な損失は軽くない。
※最初の用具だけで7万円以上かかる。詳細は下記の記事参照。
だからこそ最初は飽きずに続けられるか、子供の様子を慎重に見定める方も少なくないだろう。
そんな方に向けて、今回は筆者の実体験を基に分析した”子供がフェンシングに夢中になるために必要なこと”について紹介していければと思う。
目次
子供がフェンシングに夢中になるのに必要な”2つの要素”
子供がフェンシングに夢中になるには、『その子自身にフェンシングを好きになってもらうこと』、『年の近いライバルの存在』の2要素が必要になる。
それぞれ説明していこう。
『その子自身にフェンシングを好きになってもらうこと』
これはどのスポーツにも言えることだが、その競技自体が”好き”でないと夢中になって取り組むことはできない。
もちろん子供の性格によって感じ方も変わってくるが、ここで重要になってくるのが”子供のタイプにあわせた練習をさせられるか”だろう。
これまで17年以上フェンシングに携わってきた筆者の経験上、フェンシングを習いにくる子供は大きく2つのタイプに分かれる。
『フェンシングをやりたい子』、そして『フェンシングを通して遊びたい子』だ。
『フェンシングをやりたい子』は、基礎の構えや剣の突き方を教えてあげることで、自然とフェンシングを好きになってくれることが多い。ただもう一方の『フェンシングを通して遊びたい子』は、フェンシングよりも”楽しさ”を重視するため、基礎などを教えてもすぐに飽きてしまう。
そこで『フェンシングを通して遊びたい子』には”遊びの要素”を加えてあげることで、退屈することなく、競技を楽しめる環境を作ってあげる必要がある。
筆者の練習場では、利き手にプラスチック剣を、反対の手でパーティー用のキラキラ帽子を持ってもらい、プラスチック剣で帽子を突いた方が勝ちというルールで、初心者や遊び盛りの子供たちにやってもらっている。こうすることで、子供たちは帽子というターゲットを一生懸命突きにきてくれ、結果フェンシングの練習にもどんどん参加してくれるようになった。
もしも今練習している場所で遊びの要素がなければ、家で子供相手に遊びを加えた練習をしてあげるのもいい。興味のある方は下記URLよりご連絡いただきたい。
具体的な方法をお伝えする。
このように常に「どうすればフェンシングを好きになってくれるか?」という視点を持ちながら、その子にあった練習をしていくのがフェンシングを好きになってもらうために必要なことだといえるだろう。
『年の近いライバルの存在』
フェンシングに夢中になってもらうためにもう1つ重要な要素が、『年の近いライバルの存在』だ。
これは筆者も練習場にいながら実感しているが、ライバルは本当に子供の成長を早めてくれる。
現在、筆者の練習場には、男女比8:2ほどで教え子がいて、男の子が大半を占めている。
実際に練習を見ていると、お互いに負けたくない気持ちが強いのか、それぞれが『○○君はどんな練習をしていますか?』と聞いてきてくれる。ファイティングをしている時も他の選手にどうしたら勝てるかということも研究しているようだ。
※女の子は基本的に仲良しで、まだ競い合うような状況にはなっていない。
それは、自粛期間が続くオンラインレッスンでも同様だ。ライバルと同じトレーニングができなかったことで、悔しがる子もいた。指導する側としては良い関係になっているなと感じている。
こうした関係ができていると、自然とフェンシングに取り組んでくれるようになる。
『指導者ファースト』から『教え子ファースト』の時代へ
現役を引退し、2017年から本格的にフェンシングの指導に携わって感じたのは、「自分たちがフェンシングを始めたころとは大きく時代が変わってきた」ということだ。
筆者は中学2年生の時にフェンシングを始めたが、その頃は指導者からやれと言われたことをひたすらやり続けるような感じで、いわば『指導者ファースト』だった。それが、今は教える子供がどんなタイプで、どういったことを教えてあげれば伸びるかということを考えながら指導する『教え子ファースト』の時代になってきている。
だからこそ、これからフェンシングを始めたいという方や、すでに始めているという方は、教え子ファーストが当たり前になってくるだろう。もちろん指導者によっては、子供に合わないこともある。これは筆者の練習場でも起こるので、しょうがないことではあるが、そういう場合は指導者を変えるか、指導者以外の身近な人が、その子のためになる指導をしてあげればいい。
前述した『自宅でできる指導』もその一環だ。
今フェンシング界は大きな変革の時を迎えている。これまで世界で勝てなかった日本が、世界王者を何人も排出する強豪国になろうとしている。そんな時代だからこそ、今後この変化を続けていくには、これからの新しい世代にかかっているといっても過言ではない。
その世代を育てていくために、我々指導者も子供達に負けないくらい成長しなければいけないのかもしれない。