日本で一番メジャーな種目、”フルーレ”。
フェンシング業界ではまず、初心者はフルーレから始めるのが基本だと言われている。
その理由は『胴体だけを突く繊細な剣技が、器用な日本人に向いている』ということと『フルーレで学んだ技術が他の2種目(エペ、サーブル)でも活かせる』と言われているからだ。
さらに北京とロンドンの両オリンピックで太田雄貴氏(専門種目:フルーレ)が銀メダルを獲ったことにより、日本でのフルーレの人気は過去最高に高まっている。
そんなフルーレを実際に始めるためには、どのような用具を揃えればいいのか?
本メディア『Fence』では、初心者が最初に揃えておくべき用具を、年齢、種目ごとに分けながら、専門家であるフェンシングショップの解説を踏まえて紹介していく。
第1回目となる今回は「これからフェンシングを始める小学生」が「フルーレ」を選択した際に必要になる用具について、具体的な解説をしていく。
今回協力してくれたのは、中村橋にあるフェンシングショップ『東京フェンシング商会』。アルスターというドイツのフェンシングメーカーを取り扱っており、業界でも有名な存在だ。
そこで長年店頭に立ち、多くのフェンサーをサポートしてきたのが『西田 真誉氏』。今回は同氏から、フェンシング初心者が揃えるべき用具と、購入する際の注意点について詳しく教えていただくことができた。
『これからフェンシングを始めたい』『フルーレを小学生の子供にやらせたいんだけど、何から買えばいいの?』という方は、ぜひ参考にしていただきたい。
目次
- 1 フェンシング用具で最初に揃えておくべきものと、購入する際の注意点
- 2 最初に揃えておくべきものその①:剣
- 3 最初に揃えておくべきものその②:ユニフォーム
- 4 最初に揃えておくべきものその③:プロテクター
- 5 最初に揃えておくべきものその④:マスク
- 6 最初に揃えておくべきものその⑤:メタルジャケット
- 7 最初に揃えておくべきものその⑥:剣専用バッグ
- 8 最初に揃えておくべきものその⑦:ボディコード
- 9 最初に揃えておくべきものその⑧:グローブ(手袋)
- 10 最初に揃えておくべきものその⑨:ハイソックス
- 11 最初に揃えておくべきものその⑩:シューズ
- 12 最初に必要な用具の合計費用
- 13 着用する順番について
- 14 まとめ
フェンシング用具で最初に揃えておくべきものと、購入する際の注意点
その中で注意する必要があるのは、『剣』『ユニフォーム』『マスク』ですね。
順にご説明します。
最初に揃えておくべきものその①:剣
フルーレ電気剣セット ベルギアン (税込標準タイプ) TFポイント付 ウクライナ子供用(価格:8,760円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/5/F090B1K/
最初は1本購入すればいいと思いますが、そこから数ヶ月後に試合にでるということになれば、2本以上揃えた方がいいですね。
【ココに注意!】剣を買う時は誰が使うかを明確にし、“長さ”と“持ち手”に気をつけよう
まず“剣の長さ”についてですが、剣には子供用と大人用で刀身の長さが分かれており、小学校1~4年生の低学年には短めの剣(2~3号剣)を、5~6年生であれば大人用の長い剣(5号剣)をおすすめしております。
※剣の長さは1号剣から5号剣までそれぞれ分かれていて、1号ごとに2.5センチずつ長くなります。
全国小学生フェンシング選手権大会が、4年生まで3号剣を使用しなければいけない影響なのか、当店では3号剣を買われる方が多いですね。
そうです。実際、初心者の方は手探りで用具を注文されるので、小学校低学年のお子様に5号剣(大人向けの剣)を買ってしまったりして、長すぎてうまく扱えないということもあります。
だからこそ、どのくらいの子供が使うかということを先に言っていただけると、間違いも少ないですね。
それと剣の“持ち手”についてですが、大体の方がピストル型の”ベルギアン”(※次の項目で紹介)を購入されるので、親指をかけるところを切って、手が小さい子供用に調整する必要があります。
当店に来ていただければ、フレンチ、ビスコンチ、ベルギアン、いずれの持ち手でも、その人の手にあった長さに調整させていただきます。
剣の持ち手にも注意が必要
剣の持ち手は3種類に分かれており、使用する人の適正を見て選んでいく必要性がある。
・フレンチ
古くから存在する持ち手。
棒状ゆえに3つの持ち手の中で最も握りやすく、長さを調整する必要性もないため、コーチに習う前に剣を購入したいという方にはオススメ。
・ビスコンチ
ピストル型の持ち手。指をかけるところが小さく、包み込むように持てることが特徴。剣を操作する際、最も力が伝わりやすいので、パワフルな剣さばきをしたい人にオススメ。
・ベルギアン
初心者が最も多く使用する持ち手。ピストル型で、指をかける部分が明確に分けられているため、力を入れることなく使用することができる。剣を繊細に操作したい人にオススメ。
来店できない場合は?
それであわなければ、あとで交換することも可能です。
その他にも、剣の右利き用と左利き用を間違えて購入してしまったり、電気剣セットとブレード単品を買い間違えてしまった場合も交換させてもらっています。
最初に揃えておくべきものその②:ユニフォーム
ユニフォーム上衣 CE350N TF WIN(税込価格:14,900円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/74/8005J/
ユニフォーム半ズボン CE350N TF WIN(税込価格:12,200円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/74/8005B/
ユニフォームには、上に着る「ジャケット」、ズボンのように履く「オペロン」、ジャケットの中に着込む「プロテクター」というものがある。
ユニフォームやプロテクターには、頑丈さを示す『N(ニュートン)』という記号が用いられており、この数字が高いほど安全性も高い。
基本的にスタンダードのものが350N、国際基準のものは800Nある。
このユニフォームは、スタンダードでありながらもヨーロッパ規格の審査を通り、安全性も証明されています。
生地も350Nの強度があります。
【ココに注意!】ユニフォームはサイズを間違いがち
当店に直接来れればいいのですが、もし電話やFAXで注文される場合は、サイズ表(※下記に提示)を参考にしていただければと思います。
小さいお子さんに買われる場合は、成長することも考えて二回り大きいサイズをお選びください。
もしも注文したユニフォームのサイズがあわなかった場合でも、未使用であれば交換させていただきますので、その点もご安心ください。
最初に揃えておくべきものその③:プロテクター
FIEプロテクター800N WS(税込価格:10,800円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/77/8301/
プロテクターは、胸の部分と脇の下を防護するために着用する。
ユニフォームでも防護されているが、このプロテクターで二重に防護できるので、より安全性を高めることができる。
800N(ニュートン)あるので、国際大会でも使用できるほど頑丈な作りになっています。
チェストプロテクター AF(税込価格:3,400円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/77/8513/
胸部を守るためのプラスチック製のプロテクター。
ジュニアの場合、胸部に強い衝撃がいくと危ないので、安全上の理由から着用することをおすすめする。
サイズはピッタリしたものの方が良いですね。
着用する際は、Tシャツの上からで大丈夫です。
最初に揃えておくべきものその④:マスク
エペマスク AF スタンダード(税込価格:8,000円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/67/7010/
フェンシングのマスクは、剣から顔などを保護するために必要な用具。網状に非常に頑丈な作りになっている。
ユニフォームと違って、大きめのものを買ってしまうと、すき間が空いたりするので安全面上よくありません。
小学校低学年から始めるのであれば、最初はSサイズを買い、成長していくごとにMサイズに買い変えていく人が多いですね。
現状は小学1年生~6年生まで同様にエペ用のマスクで大丈夫です。
【ココに注意!】マスクは2020からのルール改正で、学年によってはメタルビブ付きのものを買う必要がある
現在ルールの改正段階で、対象になる学年も検討中ですが、来年には正式な決定がされると思われます。
その場合は、垂れ幕にメタルがついているものを購入する必要があるので、スタンダードのものでも大丈夫なのですが、高学年になって、さらに続けていきたいということであれば、FIE(国際基準)のものを買ったほうが良いでしょうね。
フェンシング協会が主催している試合にはFIE着用必須の試合もあるため。
フルーレFIEマスク BG メタルビブ付(税込価格:26,800円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/67/7025MB/
最初に揃えておくべきものその⑤:メタルジャケット
フルーレメタルジャケット HS 前ファスナー(税込価格:8,300円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/81/8210/
メタルジャケットは、フルーレ専用の用具。
金網の素材でできており、ここを剣で突くことによって、審判機に有効ポイントがつくようになる。
サイズもユニフォーム同様、小さいお子さんは二回り大きいものを購入していただければと思います。
最初に揃えておくべきものその⑥:剣専用バッグ
剣専用バッグ TF 2本用 (税込価格:2,700円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/86/9002N/
剣専用バッグは、剣を持ち運びするときに必要になる。容量としては、『1〜3本用』のものまである。
剣を複数購入した時も対応できます。
最初に揃えておくべきものその⑦:ボディコード
ボディコード HS(税込価格:2,000円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/24/4510/
ボディコードは、剣とメタルジャケット、さらに審判機を接続するために必要な用具。
試合に出る場合は、予備も用意しておく必要がある。
初心者向けで値段も安いので、購入される方も多いです。
最初に揃えておくべきものその⑧:グローブ(手袋)
グローブ TF エコノ子供用(税込価格:2,300円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/72/7104K/
グローブは、剣の攻撃から手を守るために必要な用具。
ユニフォームの袖から剣が入らないよう、前腕部分まで守られるようになっている。
子供用のものもあり価格も安いので、おすすめです。
最初に揃えておくべきものその⑨:ハイソックス
ハイソックス
ハイソックスは、足のすねの部分を守るために必要。
特にユニフォームの下は半ズボンになっているので、ハイソックスでカバーする必要がある。
最初に揃えておくべきものその⑩:シューズ
シューズ
シューズはフェンシングにおいて必ず必要な用具。
特にアタック動作の際は、かかとに負担が行くので、大人になるとシューズにこだわるフェンサーも多くなってくる。
やはり成長期ですと足のサイズも変わりやすく、買い直しが多いので、使用しやすいものを購入していただければと思います。
最初に必要な用具の合計費用
今回、西田氏にご紹介いただいた用具は以下の通り。
▼剣
・フルーレ電気剣セット ベルギアン (税込標準タイプ) TFポイント付 ウクライナ子供用(価格:8,760円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/5/F090B1K/
▼ユニフォーム
・ユニフォーム上衣 CE350N TF WIN(税込価格:14,900円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/74/8005J/
・ユニフォーム半ズボン CE350N TF WIN(税込価格:12,200円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/74/8005B/
▼プロテクター
・FIEプロテクター800N WS(税込価格:10,800円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/77/8301/
・チェストプロテクター AF(税込価格:3,400円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/77/8513/
▼マスク
・エペマスク AF スタンダード(税込価格:8,000円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/67/7010/
・フルーレFIEマスク BG メタルビブ付(税込価格:26,800円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/67/7025MB/
▼メタルジャケット
・フルーレメタルジャケット HS 前ファスナー(税込価格:8,300円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/81/8210/
▼剣専用バッグ
・剣専用バッグ TF 2本用 (税込価格:2,700円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/86/9002N/
▼ボディコード
・ボディコード HS(税込価格:2,000円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/24/4510/
▼グローブ(手袋)
・グローブ TF エコノ子供用(税込価格:2,300円)
※製品URL:https://www.tf-fencing.co.jp/shop/catalog/72/7104K/
▼ハイソックス
サッカー用のハイソックス(相場1,000円と仮定)
▼シューズ
バドミントンシューズ(相場5,000円と仮定)
合計金額 70,600円
着用する順番について
まとめ
今回、東京フェンシング商会の西田氏に話を伺っていて感じたのが、フェンシング用具を購入することの難しさだ。
マスクの事例からも分かる通り、必要な用具はルールによって変わることもある。そんな状況で西田氏が初心者の方に用具を紹介する際に心がけているのが『最初は安いものを購入していただく』ことなのだという。
今回紹介いただいたものは、初心者向け、いわば入門編だ。最初は手頃な値段のものから買っていただき、フェンシングを楽しいと感じることができたのなら、より良いパフォーマンスを求めて、良い用具を揃えてもらえればいいというスタンスなのだ。
さらに今回の取材では、筆者の疑問点に対し、フェンシングのルールを踏まえながらも、わかりやすく回答いただけた西田氏の対応は、長年フェンサーを支えてきたプロフェッショナルだからこそできるものなのだと感じることができた。
もしもこれからフェンシングを始めたいという方で、用具を購入する必要がある場合は、東京フェンシング商会に相談してみるのもいいかもしれない。
【取材協力】
東京フェンシング商会 西田 真誉氏
【住所】
東京都練馬区向山1-14-2
※中村橋駅(西武鉄道池袋線)北口より徒歩3分。
【お問い合わせ先】
▼お問い合わせフォーム
https://www.tf-fencing.co.jp/contact/
▼連絡先
電話:03-5848-3126
FAX:03-5848-3127
早速ですが、小学生の子供にフルーレ用のフェンシング用具を買う際、揃えておくべきものと、注意しておいた方がいいことなどありましたら教えてください。