フェンシングをするうえで欠かせないのが”剣”、その剣を操る為に必要なのがグローブ(手袋)だ。
フェンシングのグローブには『フィット性、グリップ性によって剣を操作しやすくするための機能』と『相手の攻撃から手を守る防具としての役割』があり、自分に馴染むグローブであれば、剣を操作する精度を一段と高めてくれる。
ただ、自分に馴染むグローブは、実際に着けてみなければわからない。更に言えば、これまではグローブについて情報があまり無かったために、どのグローブを使っていいのかわからないという方も少なくないのではないか。
そこで今回は、筆者自らがフェンシングショップに行き、店員さんからオススメされたグローブを、使用した感想とあわせて紹介していく。
『これからフェンシングを始めるけど、どのグローブにしていいかわからない』『そろそろ新しいグローブに買い換えようと思っている』という方の参考になれば幸いだ。
新しいグローブを求めて
今回グローブを買いに伺ったのは、吉祥寺にあるフェンシングショップ、”フェンサーズ”。
このショップは懇切丁寧な対応をしてくれることで有名で、筆者がグローブを購入しにきたことを伝えると、オススメのグローブを出し、詳細な説明を始めてくれた。
今回ショップの店員さんがオススメしてくれたのがこの2つ。
『ニューフィットプログローブ(左)¥7,780』と『ニューフィットグローブ(右)¥5,880』だ。
どちらもスケルマ(香川県にあるグローブ工房)というメーカーのグローブで、日本選手はもちろん、ドイツ、イタリアの代表選手も愛用するなど、その機能性は世界的にも認められている。
本来ならばスケルマに直接オーダーしなければ手に入らないが、その既製品をフェンサーズが直輸入しているのだ。
そんなスケルマのグローブでも、子供から大人まで一番使いやすいのが通常モデルである『ニューフィットグローブ』。
値段的にも安い方なので、フェンシングを始めたばかりの初心者にもオススメだ。
そのプロモデル(経験者向け)でもある「ニューフィットプログローブ」は、筆者のように長くフェンシングをやっている人向けだが、初心者でも使用できる。
ただ、通常モデルの「ニューフィットグローブ」と違い、「ニューフィットプログローブ」にはジュニア用サイズがないので、その点だけ注意が必要だ。
通常モデルとプロモデルの違いについて
筆者がまず気になったのは、2つのグローブの違いについて。
店員さんが言うには、違いは3つあるという。
(1)プロモデルは通常モデルよりも手のひらが滑りにくい素材になっている。
(2)フェンシングのグローブは、使っているうちに手の小指側の側面が破れる傾向があるので、プロモデルには合皮で補強されている。
(3)手の甲部分について、通常モデルにはスポンジが入っているのに対し、プロモデルには衝撃吸収剤が入っている為、相手とぶつかった際も衝撃を和らげてくれる。
上記の違いを聞いて、筆者は防具としての優秀な役割を果たしてくれそうな「ニューフィットプログローブ(プロモデル)」の購入を決めた。
では実際に着用してみた感想を、次の項目から紹介していく。
着用してみた感想
着けてみた感想を一言で言えば、「手に馴染む」ということだ。
実際に剣の持ち手を持つと、他のグローブとの違いがよくわかった。
筆者の主観にはなるが、ドイツで出しているフェンシングの有名メーカー『アルスター』や『ウルマン』のグローブは、手に馴染むというよりは、剣の持ち手とのグリップ性を高めて、より操作精度を高めているという印象がある。
対してスケルマのグローブは、グリップ性も高いうえに、これまで使ったどのグローブよりも手にフィットしている。
イメージで言えば、グローブと手の間にスポンジが埋め込まれているような感じだ。指に隙間なく密着しているので、フィット感が他のメーカーのグローブよりも高く感じる。
さらに驚いたのは、これだけ重厚な作りであるにもかかわらず”指が曲げやすい”ということだ。
これはスケルマがグローブを作る際、特殊な繊維を使用することで、指への負担が軽減しているからだと思われるが、これだけ指の関節が曲げやすいのには正直驚いた。
フェンシングでは剣を操作する際、親指、人差し指、中指をよく使うので、関節の曲げやすさはそのまま剣技の精度に影響する。
その点、スケルマのグローブは、手に密着しながらも指を曲げる時にストレスを感じさせない。まさに、メイドインジャパンの繊細な技術が、このグローブには込められているのだろう。
以前、スケルマのグローブを使用している選手に、その使い心地を聞いてみたことがある。その選手曰く”一度使うとスケルマ以外考えられない”のだそうだ。
今となっては、その気持ちがわからなくもない。
ただ、これは人の好みにもよるので、他のメーカー(アルスター、ウルマン、PBTなど)のグローブもつけながら、自分にあったものを選んでいただきたい。
この記事がグローブ探しをしている方のお役に立てたのなら幸いだ。